朝食後は赤の広場へ
時差がめちゃくちゃな生活をしていたせいか、夜中に少し目を醒ました。時計を見ると0時45分、日本は今は5時45分、早朝か。変な時間に起きてしまったので、水を一杯飲んでまた寝ることにした。
朝、起きて何時か確認するために腕時計を見たら針が止まっていた。「嘘?壊れた?」。でも、よくよく調べてみたら、充電が切れてしまっただけだったのでよかった。せっかく一緒に旅してきた時計が、旅の前半で壊れたかと思って少し焦ってしまった。
気をとり直して朝食。今日のメニューはクラッカーとコーヒーとホットスープみたいなのと、何かのパックそれと何かのパテ。
これは湯気のマークがあるからお湯を入れて飲むんだろうか?「そうか、スープだ!」袋を開けて中から茶色いペースト状のものが出てきた。「なるほど、味噌か!味噌スープだ!」カップに入れてお湯を注ぐ。「味噌は栄養価も高い食品、実に合理的な判断だ。それにしても懐かしい、ありがたい」そしてカップのスープを一口飲む。「ブハッ、甘ッ!何だこれ!?味噌じゃない!…アプリコットジャム?そんなような味」二口目「アプリコットジャムをホットスープ作っちまった、飲めんわこんなの」「湯気のマーク何なん、紛らわしいわ味噌汁かと思ったわ!」
続いて肉のトマトソースっぽいものを食べる、鶏肉っぽい味だが、やはりあまり美味しくない。気を取り直して、何かのパテっぽいものを開ける「見事に平たいな、本当に食べ物か不安になるわ」クラッカーにのせて食べてみる「魚か?これ」食感も悪くため息がでるほど美味しくない。
とりあえず健康のために食べねばと腹に詰め込んで、コーヒーを飲んだ。「旨い!」このコーヒーは旨かった。不味いものを食べた後だからかと思って、もう一回飲んでみてもやっぱり旨かった。ふと、エディックやジョナたちも、このコーヒーを飲んで「うめぇ」とか言ってる姿が思い浮かんだ。
昨日送ったメールの返信がいくつか届いていた。「今はこっちは台風が来てて、船が少し遅れたりしてるわ」と東海港の国際線フェリーターミナルのジョさん。「いい旅を!」と東海からウラジオストクの国際線フェリーで一緒だったリーさん。「モスクワはどんな感じ?」とウラジオストクのホステルで会ったホン兄弟、同じく同じ宿にいたパクさんは「今、サンクトペテルブルクにいて、今日はこれからエルミタージュ美術館に行きます」と書いてあった。「サンクトペテルブルクか」
そうこうしているうちに昼になった「またこれか〜」と食事箱を開けようとしたら、宿に泊まってるウラジオストクから来たナターシャさんが「たくさんあるからどうぞ」とベリーとお菓子とサンドイッチをくれた。久しぶりに味のする食べ物だと感激してしまった。やはり人間、食べられればいいという訳ではないのだ。食べられればいいと言ってる人は幸せなのだ。そういう人は多分、日々不味くないものを食べているのだ。
昼ごはんを食べ終わり、準備をして通りへ出た。このボリシャヤ・ニキーツカヤ通りをまっすぐ歩いて行けば赤の広場だが、手持ちの現金だけではクレムリンにも入れない、先ず銀行か。とりあえず銀行を探してみることにした。
車道も歩道も広く歩きやすい。天気もいいし気分がいい。レストランの前には、面白い金属アートがあった。なんだか可愛らしい。
歩いていると通りの角に銀行を見つけたので中のATMでお金をおろし、必要最低限使いそうな額だけ財布に入れて、残りはマネーベルトに入れ分けた。
通りの先にクレムリンの建物が見えた。さぁ、腹も一杯だし、金も用意した、赤の広場ももうすぐ。モスクワ観光の始まりだ。
つづく