シルクロードへ

僕はこの旅の始まりと終わりについてはあまり思い出せない。それが夢中だったからか不安だったからかはわからないけど、入国や出国の写真は1枚も撮ってなくて、旅日記も書いてなかった。だから多分、余裕が全然なかったのかもしれない。覚えてるのはどうしても行きたい場所があって、お気に入りのカメラを持って行ってしまったこと。初めての中国一人旅。気がついたら中国にいていつの間にか日本に帰ってきてた。本当にそんな感じの旅だった。

 

2010年8月。これは大学職員として働いてた僕の遅めの夏休みの話。

 

きっかけはテレビで視た海外の紹介番組だった。仕事から帰って夕飯を食べながら、時々後ろのテレビを眺めていた。ちょうど海外の絶景特集みたいなのをやってて、それで「華山の長空桟道」というなんかすごい場所があることを知った。レポーターだったか特派員だったかが『「華山」は中国の西安の近くにある山で「登るのは大変だけど頂上でご来光を見るとご利益がある」』みたいな説明をしてて、その時は(へ〜、なんか富士山みたいだな)と思って麦茶を飲んだ。

その日の夜、部屋の明かりを消して寝ようとしてたら、さっきテレビで視た「華山」の映像を思い出し、なんかもうどうしても行ってみたくなって、すぐにインターネットで行き方を調べた。残念ながら「華山」に直接行くような旅行会社のツアーは見つけられなかったけど、それでもJTBで西安3泊5日のフリープランがあって「これだ!」と勢いで申し込んでしまった。

こんな風にしてしまったのも、実は8月中旬に友達と2人で、前日の夕方に出発し翌日の朝にご来光を見る日帰りの富士登山を予定していたせいもあったと思う。何故なら僕はこの富士登山…あまり乗り気じゃなくて、と言うのも別に登山が好きな訳でもない僕は、この3年前に初めて富士山のご来光登山をして(うん!もう満足!あと20年は来なくていいや!)と心に誓ってたんだけど「富士山に登ってきたよ」と友達に話したら「じゃあ俺も登りたいから付いて来てよ」となってしまい(困った…正直、全然行きたくない)と思ってた。

まさかこの二度目の富士登山が「私たちとも一緒に行こう」と三度目を引き寄せ、結局5年間で3回も登るはめになったんだけど…でも、そんな二度目の富士登山だったけど「華山」に行くのを決めた後は「今週は日本の富士山でご来光、来週は中国の華山でご来光だ!」と俄然やる気が出てきた。

 

まぁ、いざ行ってみれば結果的に二度目の富士登山も楽しかった。山中湖か河口湖の打ち上げ花火を見下ろしたり、流れ星はたくさん見えた。標高が高いから実際はぬるいんだけど相変わらずカップラーメンは温かく感じて美味しかったし、徐々に値上がりする食料品をどのタイミングで買うかはやっぱり迷った

友達は冬の週末にフットサルをするような格好で来ちゃったから、案の定「寒い」と言って「早く頂上に上がろう」と言い出した。それに付いてハイペースで登って行ったら頂上に着く頃には俺が気持ち悪くなるし、ご来光には早すぎて風は冷たいし、なんなら一番寒い場所にいるし、山小屋も店もやってないし。僕は、寒すぎて持ってたビニル袋に足を入れて縛り「これでズボンの裾から入る風も防げる」とか変なこと言いながら横になって震えていると、いつの間にかいなくなってたその友達は山小屋に勝手に入って中で寝てて、小屋の人に「お前!日本人か?」って怒られてた。でも「布団が空いてるから泊まれるらしい」って声かけに来てくれて「助かった〜!」と、どさくさに紛れて山小屋の布団に潜り込んで寝た。なんやかんやお金も払ったはず…だと思う。

朝焼け

ご来光

 

やがてご来光を待つ人が集まってきて、しばらくすると太陽が昇り始め辺りが明るくなり、空が白んで雲は綺麗に見えた。富士山でご来光を眺めながら(来週は中国の華山だ!)と思った。全く変な感じがした。

富士山からの景色

雲の流れ

雲と雲の間

 

少し休んで外が暖かくなってきたら、お店で若干高めな感じがしないでもないカレーをありがたかって「うまい!うまい!」とがっついた。そろそろ下山をしようとしたら友達が「ちょっと待って」と言うので「何だろ?」と聞いたら、職場の上司に登頂報告するらしい。(それ、必要なんだ?)と思った。下山途中には季節外れだけど鯉のぼりがあって、なんか雄大だった。

下山開始

鯉のぼり

温泉に浸かって疲れを取って家に帰ってその日はとりあえず寝た。次の日、今回の富士登山に持ってったもを参考に来週の中国行きの準備をして、バックパックに荷物を詰めた。

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