雀が丘から望むモスクワの夕日
他の人が自動券売機でチケットを買ってるのを見て、僕も試しに買ってみた。あっさり買えた、超簡単だった。まぁ、日本で自動券売機使ってるんだから、他の国で似たようなことができない道理はない。そんな感じでモスクワの街が見渡せるらしい雀が丘に行くことにした。
ホームで近くにいた方に「ヴィラヴィヨーイ・ゴーイってこの列車ですか」と聞いたがうまく伝わらず「はて?」という顔をされているところに、夕飯の買い物帰りのお母さんといった感じのポーラさんという女性が声をかけてくれて「私はヴィラヴィヨーイ・ゴーイの次で降りるので、途中まで一緒に行きましょう」ということになった。「スパシーバ」です。
列車を降りてポーラさんに手を振ってヴィラヴィヨーイ・ゴーイのホームに着いた。メトロに乗ってきたけど地下じゃないのか、と言うか降りる人少なっ。とにかく外へ出てみると。
列車が頭上を走っているせいだろうか「京王相模原線みたいだな」と思った。これから無補給で丘を登るのかと落胆してたら、近くに売店があって飲み物かお菓子しかなかったのでコーラを買った。
水分補給も終わったところで、雀が丘に行くにはリフトがあるみたいなので登りはそれでいこうと、近くに人に場所を尋ねてみたが「ニエート ポニャール(わかりません)」。もういちいち聞くのもめんどくさくなったので「どうせ丘までそんなに距離はなさそうだ」と歩いて登ることにした。
歩いて登っても20分程度だったので、リフトに乗らなくて正解だったもしれない。ここ数日、シベリア鉄道で電車に乗りっぱなしだったから、運動不足解消にはちょうどよかった。時間的にもいい感じなのか他にも夕焼けを眺めに来ている人たちがいた。どこに行っても望遠鏡は置いてあるもんだな。
この丘自体はそんなに高くない場所にあるので、抜群の景色かというとそうではないんだけど、お土産屋さんとかもないせいか、のんびりと落ち着いて景色を眺められる場所なのがよかった。すれ違うベビーカーの赤ちゃんも思わずガン見してしまったこのハードなおじさんも、何か思うところがあってここに来たのかもしれない。爆音を鳴らして走り去って行ってしまったが、暑くないんだろうかその格好は。
この丘の前には、モスクワ大学があって、まぁ大学というかゲームのラスボスがいそうなお城みたいだったが、これはこれですごくかっこよかった。この建物の中には学生寮もあるらしいんだが、一体どんな部屋なんだろう。
ということは、ここでラジコンで遊んでた子たちの中にも、モスクワ大学の学生がいたのかもしれない。子どもじゃなくても最新のゲームじゃなくても楽しいものは楽しいように、みんな夢中になって遊んでいた。
しばらく「僕もラジコンやりて〜な」と見てた後に、さすがに腹も減ってきたので丘を降りることにした。来た道とは別の道を通って丘を降り始める。途中、森の中で運動施設のようなものをいくつも見かけた。
丘を下りきりモスクワ川沿いに出ると、もう川は夕日に照らされていて地図を確認したら、この川沿いに歩いていけば、ヴィラヴィヨーイ・ゴーイ駅に、ずっと進めばクレムリンまで行けるみたいだ。
この川沿いには歩道の他に、自転車やローラーブレード、ランナー専用レーンが整備されていて運動をしている人たちがたくさんいた。その中にはキックボードに乗ってた仕事帰りのような女性もいた。運動を日常に取り入れるって、ジムに行くとかじゃなくてこういうことかなと思った。
ヴィラヴィヨーイ・ゴーイ駅の下も走行レーンが通っているので、ここから列車に乗る人や、逆にここから家に帰るような人もたくさんいた。これはなかなか楽しそうでいいな。階段の下には危険走行をしていないかチェックしている警備のお姉さんもいた。
「なんだろうね」この道を歩いてきて景色を見てなんかいいなと思った。言葉にしてその程度の感情ではあるのだけれど。
さすがにもうお腹も減ったし夕飯時かな。今夜は何を食べようかな。
つづく