お好み焼きとロディオン
リガ国際空港から乗ってきたのと同じ市バスに乗って、ロディオンと一緒にリガ駅に戻ってきた。「それじゃあ今日は1泊お世話になります」「いえいえ、どうぞ」と言う訳で夕飯の材料を買いにスーパーマーケットへ買い出しに行ってからロディオンの家にお邪魔した。
空港に三人でいた時、日本食の話が出て「お好み焼き?何それ?」と言うリアクションだったので「よし!それじゃあ今日はお好み焼きだ!アルトゥーは日本で食ってくれ!」と泊めてもらうお礼も兼ねて夕飯はまた僕が作ることにした。
「リガでの雪辱はリガで果たす」と意気込んだのは良かったものの、イェルガバのスーパーマーケットにバーベキューソースがあったからリガにもあるだろうと油断していたら、そうは都合よく行かず無かった。ハイパーじゃないからなのか、仕方ないので今度はソースを自作することになり、また少し難易度が上がった。しばらくソースの構成を考えて、醤油とトマトケチャップと最後に100%のミックスフルーツジュースを手に取ることにした。半信半疑、本当にこれで良いのかと言う気しかしなかった。
ロディオンの家に着いて、今インドを旅している弟さんの部屋を借りて、洗濯をさせてもらった。すると電話がかかってきて「少し出かけてくるからくつろいでて」とロディオンはどこかに出かけて行った。
洗濯物を干し終わったところにちょうどロディオンが戻ってきて「おかえり〜」と言ったら「?」みたいな顔をしていたので「日本では家に帰ってきた人に対して家にいた人がそう言うのさ」と説明したら「なるほど」と言っていた。
「それよりその手に持ってるの何だ?」「ああ、これはトレーニング用の鉄棒」「今から壁にドリルで穴を開けて取り付けたいんだけど手伝ってもらってもいい?」「ん?ああ、もちろん」「ここ持っといて」「それにしても賃貸物件の壁に直接ドリルとは日本じゃ考えられないぜ」「ニノ、どう思う?水平かな?」「何言ってんだデザイナー、締めが弱いからずれてんだろうがレンチ貸してみ」
「お〜し、取付終了、お疲れ!」「ありがとう」「いやいや、お安い御用さ」「さて、テストだ」ロディオンと僕が交互に懸垂をしてみた「うし、完璧!」「さぁ、料理開始だ!」
「どうした、ニノ?お好み焼きは難しい料理なのか?」「いや、そんなに難しくはないんだけど、ソースの材料をこれで代替して再現できるのかわからん」「そうなのか?何か手伝えることある?」「とりあえず、下手の考え休むに似たりだ、やってみっか」「そしたら、ロディオンは具材をこんな感じに切ってくれ」「僕はお好み焼きのタネとソースを作る」「OK」
ロディオンが切り揃えてくれた具材に、僕が作ったお好み焼きのタネを混ぜて、フライパンに油を敷きタネを落として丸型にし肉を乗せて焼き始める。色が良い具合になってきたところで、フライパンを振りひっくり返した。
火が通って焼き終わったお好み焼きを皿に乗せた。醤油とトマトケチャップと100%のミックスフルーツジュースを煮詰めて自作したお好み焼きソースを「頼む!変な味は勘弁!」と味見。
「ん?あれ?これは!?」「どうした、ニノ?」「ロディオン、日本の味のお好み焼きができちまった」「本当か?」「あぁ、日本人が言うんだから間違いない」
「よし!じゃあ、いただきますだ」「いただきます?」「う〜ん、後で説明するから、先ずは温かいうちに食べようぜ」「旨いなこれ!」「あぁ、ちょっと作った僕もびっくり」「こんなの食べたのは初めてかな」「そうだろうな、寿司や天ぷらと違ってあまり見かけないしな」全部で5枚ほど作れる分量だったので、僕とロディオンで2枚ずつ食べ最後の1枚は半分ずつ食べて綺麗に完食した。
それじゃあ「ごちそうさま」だ。「ごちそうさまって?」「う〜ん、日本人は食前に食べられることに感謝して、食後に食べられたことに感謝するんだ」「そうか。なら、ごちそうさま」「小難しく考える必要はないよ、テーブルマナーの一つだと思ってくれれば良いと思うよ」
食後はこれまでの旅の写真を見たり、ロディオンの弟とスカイプで「インドやばいですよね〜」「やばいよね〜あそこはもうインドだけで一つの世界だからね〜」と話したり、明日のリトアニアへのバスを調べたりした。前日だからかネットでチケットを買うことができなかったけど「明日、窓口で買うから大丈夫」と、直接バスターミナルでちょうど良い時間に来た空いてるバスに乗ってシャウレイに行くことにした。
つづく