アンドレイ・ルブリョフ記念美術館といつかまたな
天才イコン画家ルブリョフの作品を見るためにルビャンカからメトロに乗った。長いエスカレーターを下ってる時「マキシム、アンドレイ・ルブリョフ記念美術館まで何分くらいかかるか分かるか?」「ちょい待ち、こんくらい」「なるほど14分か、降車駅はリームスカヤね」
ホームへ下ってる時に怖い人形を見かけた。一種のアートなんだろうがなんか不気味で、夜とかは見たくない「と言うかマキシム何だその顔?」
一回乗り換えをしてリームスカヤで降りて、マキシムの案内でアンドレイ・ルブリョフ記念美術館へ歩いていると「ちょっと包帯の替えを買いたいから待ってて」と言って、アプテカと書いてあるお店に入った「なるほど、これが薬局か」
薬局の近くにはスーパーもあって「何かお菓子でも買おうぜ」というので付いていった。大きいカバンは中に持ち込めないので、小動物のカゴみたいな場所にカバンを預けて鍵をかけた。
クワスとアイスを買った。マキシムが言うには「このクワスがうまい!」らしい。「マキシムはウクライナ人だけど、ロシアにいる人は本当にクワス好きだな」確かに何となく飲みたくなる味けどねそれは。
そして遅刻したからってんでアイスをくれた「インドじゃ暑いなか3時間もバスを待ったことがあるから気にすんな」と言ったんだけどしょうがない「んじゃまぁ気持ちだと思って、ありがたくいただくわ」それにしても、やっぱりロシアのアイスは旨い。
食べ飲みしながら歩いていると、目的地のアンドレイ・ルブリョフ記念美術館に着いた。これが天才イコン画家の像、やはり鳩が頭に乗っているんだな。
カッサ(チケット売り場)に行って値段を見てみると「企画展示と常設展で合わせて700ルーブルは高い」とマキシムが言うので「じゃあ」と常設展のチケットだけ買った。マキシムに「何で僕と値段違うの?」と質問したら「外国人価格だからだよ、そう分けるのは俺はあんまり好きじゃない」と嘆いていた「日本は全体的に高いけど、外国人価格で特別高いってことはないかな」と言うと「それはいいな」と頷いた。
アンドレイ・ルブリョフ記念美術館内にあるアルハンゲル・ミハイル協会がイコンの美術館になっていたのでそれらを見てから中庭をぐるっと回ってきた。マキシムはここに以前来たことがあったみたいで「それなら言ってくれたらいいのに」と思った。なんだか付き合わせてしまって申し訳ない。
僕らが建物に入った頃に雨が降ってきて、お互い「傘持ってね〜よ」なんて話していたが、外に出る頃は止んでいて「セルギエフ・ポサードの時といい、僕らが建物の外に出ると運良く雨止むな」と笑った。
腹も減ってきたのかマキシムが「夕飯食べようぜ」と言うので「いいぜ」と言うと「ファーストフードでもいいか?」「もちろん、いいよ」と答えた。そうして15分ほど歩いてデパートのフードコートのマクドナルドに着いた「ここでいいか?」「いいね、ロシアのマクドナルドは始めてだ」
注文を並んで待っている時にメニューを見たが「マックしかわからん」と内容が全然わからなかったので「適当に頼んでくれ」とマキシムに全部任せた。ハンバーガーはあまり日本のものと変わらなかったが、ジュースはやけにでかい気がした。
食べ終わったあとは、最寄りのメトロの駅まで歩いていった「そういえば音楽やるっていってたけど何の楽器やるんだ?」と聞いたら「これだよ」とマキシムはカバンからハーモニカを取り出して吹いて見せてくれた「ハーモニカか、早く指のケガ治るといいな」
どこだかわからないメトロの駅に着いて「いつモスクワを出るんだ?また明日も遊ぼうぜ」と聞かれ「今日の夜にサンクトペテルブルクに向かう」と答えると「今夜、急だな!?」「あれ?わりぃ、言ってなかったっけ?すまん、でもこの二日間楽しかったよ」
写真を後日送る約束をしてマキシムと連絡先を交換した。メトロに乗って僕はルビャンカで降りると、「またな」「あぁ、またな」とホームからマキシムの乗ったメトロを見送った。
つづく