待ち合わせは12時にプーシキンの家博物館前
家族や友達から届いた誕生日祝いのメッセージに返事をすると一瞬で連絡がきた。本当にインターネットはすごく便利だ。朝食はドミートリィが豆を煮たお汁粉みたいな見た目の料理を作ってくれた、味はあまりないのでドミートリィの愛用のチリソースをかけて食べた。色味に抵抗があったが作ってくれた飯、文句は言えない。
軍の携帯食も順調に減ってきたので、お菓子やお茶類はカバンに別けて箱は潰し、かさばるので捨てようとしたらドミートリィは「そんな貴重なものを捨てるならくれ」とねだる「いや、まぁ貴重だろうけど箱だぜ」と言いながらあげた。
食後はマキシムとの待ち合わせ時間まで宿でのんびり過ごした。今日の真夜中の列車に乗るので、荷物の整理は先に済ませておいた。「ドミートリィ、お前何やっ…と邪魔しちゃ悪いな」
待ち合わせ場所にしたアルバート通りのプーシキンの家博物館前には少し早めに着いてしまったので、近くをぶらぶら散歩した。ここもユリアに薦められた場所、プーシキンはロシアの詩人だったので、きっと彼女は文学少女なのだろう。ロシア文学はシベリア鉄道での暇つぶしにと日本から持ってきた『罪と罰』のドストエフスキーとトルストイくらいしか知らなかったので、昨日見たブルガーコフやプーシキンについては帰国して気が向いたら、ちょっと本でも読んでみようかなと思う。それにしても何だろうあのジャムの瓶。
通りでは何かのイベントがあるのか踊ってる女性がいて、ピンクの衣装の人のテンションの高さとおばさんのマイペースなギャップに戸惑ってしまった。そしてこれを一眼レフカメラで撮りまくるアジア人のおじさんたちの本気さに驚いた。
そうこうしているうちに待ち合わせの時間になったので、プーシキンの家博物館の前に戻るが、15分過ぎても一向にマキシムは現れない。おかしいなと思い、入れ違いになったのかと思い受付の人に「誰か人を探してませんでしたか?」と尋ねてみたが「ニェット(いいえ)」仕方ないので昨日もらっていた連絡先の電話番号を見せて「ここにかけれくれませんか?」とお願いしてみたが「ニェット(いいえ)」「ここでは引き受けられません」と言われてしまった、まぁそうだよな。
はてさてと入口前で困っていると「どうしたんですか?」とモスクワの学生観光ボランティアのカーチャちゃんとアテムくんに声をかけられ「これこれこういう事情で」と身振り手振り説明すると「じゃあ私たちが代わりに電話しますよ」と助けてくれた「スパシーバ ボリショーイ(本当にどうもありがとう)カーチャちゃん、アテムくん」
電話が終わりお礼を言うと「何か電車が止まっててまだ少し遅れるって言ってました、この場所にいることは伝えときました」と教えてくれた。二人は「他にも困っている人がいないか探さなきゃいけないので、ではまたーモスクワ観光楽しんでくださいね」と手を振って行ってしまった。
時間つぶしに、古本市も出てたのでどんなものがあるのか物色。そこではまさかのその時、救世主が現れなすってたが、この本はどうしてここにあるのだろうか。
ベンチに座りながら「マキシムはまだ現れね〜な」とぼやくこと1時間。ようやくマキシムさんのご到着である「ごめん、ごめん」「大丈夫、大丈夫。別に急ぎの予定もないし、そんなに気にすることはない」「はは、プーシキン博物館と間違えたかと思った」「まさか」「まぁいい、そこそこ待つのも楽しかったよ」
プーシキンの家博物館を見た後は、アルバート通りを抜けて赤の広場へ行った。
初めて来た日と同じでまだ入口の広場には鳥がいたので写真を撮ったり、ここでも踊りのイベントがあって、お姉さんの振り付けに合わせて子どもたちも踊って遊んでいた。それにしても「マキシム、お前本当に写真好きな」
赤の広場のグム百貨店の前にあった古いロシアのタクシーや聖ワシリイ大聖堂の前で一緒に写真を撮った後は、以前行って閉まっていたルビャンカのマヤコフスキー博物館に再び行ってみたが、やはり何故かやっていなかったので、僕らはルブリョフ記念美術館へ行くためにメトロの階段を下り地下鉄へ向かった。
つづく