華やかなイルクーツクの街並み
アーニャとユリアとディマと僕の4人はトラムとバスに乗って市内へ出かけた。乗り方はウラジオストクで乗ったバスとほとんど同じだった。ロシア語の文字にも慣れたのか少しずつ読めるようになっていた。バスに乗ってる時から、ユリアは行く先々の場所についてあれこれと丁寧に教えてくれて、まるで先生のようだった。
スパスカヤ教会の近くでバスを降りた、スパスカヤ教会の壁面には宗教画が描かれていた。白と緑と金色の建物は青空に映えた。ロシアの建物は特徴のある形をしていて面白いし、何より配色がとても鮮やかだと思った。教会の側の通りを歩いて僕たちはアンガラ川に向かった。
アンガラ川の近くの橋の上にアイスクリーム屋さんが出ていたので、4人でアイスを買って川の側のベンチに座って食べた。僕らの他にも本を読んだりしている男性や、おしゃべりをしている女性たち、走り回って遊んでる子ども達がいた。ディマが言うには、この川に願いを込めてお金を投げると叶うと言われているらしい。そんなこと突然言われても僕自身は特に願いは思いつかなかった。だからディマやユリア、アーニャたちがいつまでも幸せでいれば良いと、アイスを買った時にもらったお釣りの5ルーブルコインを投げた。
アイスを食べ終わると来た道を少し戻り、バガヤヴレーニエ寺院の側を通って市内へ戻った。礼拝か観光のためなのかわからなかったけれど、ちらほら教会の中へ入っていく人たちもいた。
イルクーツクはとてものんびりとした華やかな街で、天気が良い日に散歩するのは、とても良い場所のように思えた。キーロフ広場の花壇の近くには、ペイントされたオルガンがいくつか置いてあって、子どもたちが弾いてたりした。
キーロフ広場を抜けて、僕たちは金沢通りにやってきた。どうやらイルクーツクは金沢市の姉妹都市らしい。この街では日本と同じ時間が流れていて、日本から遠く離れたロシアの地で日本的なものに触れるのは、少し不思議な気分がした。通り沿いでは露日交流の記念碑も見かけた。
レーニン通りの脇の小道から、寿司やてんぷらが食べられる日本料理店『京都』の前を通って、カールマルクス通りへ出た。西欧風の建物が立ち並ぶ街の中で、一瞬自分が今どこにいるのかよくわからなかった。
イルクーツクはシベリアと中央アジアとモスクワの間で工商および交通の要衝となっている街だ。多分この時に、文化・人種が交じり合って成り立っている場所が面白いと感じるようになったんだと思う。
つづく