イルクーツクのユリアとアーニャ
僕を駅まで迎えに来てくれた女の子は二人いた。「あれ?二人?」と思って尋ねてみると、一人はユリアと言って、彼女がウラジオストクで会ったディマの妹。もう一人のアーニャはユリアの友達の女の子で一緒に付いてきてくれたらしい。二人ともまだ若そうだった、大学生くらいの歳のように見えた。
僕はというと「ニノさん!見失ったのかと思って探したんだから!」「イズヴィニィーチェ(すみません)」と歩きながらもまだユリアに叱られていた。
外はまだ明るかったけど、時間は夜の7時半を過ぎた頃だった。二人に連れられ駅の外に出て、僕たちはトラムに乗ってイルクーツクでこれから数日お世話になるユリアの家に行った。
ユリアの家の側でトラムを降りて少し歩いて家に着いた。歩きながら話をした。二人は高校時代からの友達らしい、性格は違うような感じの二人だったけど、話してる二人はとても仲が良さそうだった。
家に上がらせてもらうと、ユリアはすぐに「ここがお風呂でお湯の使い方はこう、トイレは隣の扉でライトはこのスイッチ」「はい」「キッチンはここ」「はい」「こっちは客間で、あっちがディマの部屋」「はい」「荷物はここに置いて、寝るのはこの部屋、自由に使って」「はい」「あの、ここは?誰の部屋?」と聞いたら「ここは普段は私の部屋」と返ってきた。「はい!?」こうして僕はユリアの部屋を借りることになった。
「とりあえずシャワー浴びてきて、洗濯物があるならこのカゴに出しておいて、ニノがシャワー浴びてるうちに、私たちは夕ご飯の支度をするから」「わっ、わかった。」
シャワーを浴びた後はキッチンのテーブルで夕食を頂いた。料理名は分からなかったけど、とても美味しくておかわりをしてしまった。食後はディマの部屋のパソコンでお茶を飲みながらネットをして話していた。二人が「ニノはVKやってる?」と聞いてきた、VKを知らなかったから「VKって何?」と逆に質問したら、VKはソーシャルネットワークサービスの一つでロシア版のフェイスブックのようなものだと教えてくれた。ロシアではVKのほうがフェイスブックより有名らしい。持ってなかった僕はメールアドレスとスカイプの連絡先を交換した。
アーニャは人懐っこく素直で、のんびりとした感じで話すけど、元気で可愛い感じの女の子。日本のアニメが好きで日本語の勉強もしていたから、簡単な会話なら日本語で話せた。「これで日本語の勉強してるんだ見て見て」と言って自分が使ってるノートやプリントを見せてきた「どれどれ」と見せてもらったのが「おたくのひらがな」。日本のアニメって人気なんだな。
最近はこのアニメが好きなんだと言うので「おうおう」と視て視たら、日本語の音声でロシア語の字幕の『デュラララ』の動画だった。『デュラララ』視たことないな。
ユリアは面倒見の良い美人なお姉さんタイプの女の子。でも、見かけによらず北野武やバイオレンスムービーが好きだったりヒップホップにはまっていた。好きなものを語り始めると止まらなくなってしまう「私は最近、この日本の曲が好きでよく聴いているわ」と言ってパソコンのプレイリストを見せてくれたけど、全然知らない曲だった。「ゆらゆら帝国って何?その下もきのこ帝国、どれだけ帝国好きなの?」独特すぎてよくわからなかった。
しばらくして眠くなったので今日はもう寝ることにした。明日はイルクーツクの町を案内してくれるらしい。ユリアとアーニャは隣の客間で寝るようだ。僕は二人に「スパコーイナイ(おやすみ)」と言って部屋に戻った。
ディマたちが帰ってくるのは明日になっちゃったのか。ロシアの民家ってドアや仕切りないのが一般的なのかな。何か逆にユリアとアーニャが心配になってしまった。アホかもう寝よう、そしてベットに倒れこんだ。
つづく