独り悲しくネルパ
朝ご飯を食べようと席に座ると初めて見る料理が並んでて、今朝はナターシャさんがアクローシュカというロシアの夏の冷製スープの料理を作ってくれていた。これがすごくおいしくて、パンによくあうから朝から食べ過ぎてしまった。
ディマのパソコンでモスクワの宿の予約を済ませておいた。今日は、ユリアは大学に用事があり、ディマは車の調子が微妙で点検しなきゃいけないと言うので、僕は一人でバスを乗り継ぎ、昨日は休みだったネルパ水族館へ行ってみた。
初めて一人で観光した場所が、別に大して行きたいと思ったわけでもないところだったので「何で一人でこんなところに」と少し悲しくなってしまった。今日はしっかり開いていたので早速中に入り、受付で一番早い回のショーのチケットを買った。どうやらショーの時は写真撮影は禁止らしい。動物がフラッシュに驚いてしまうからかもしれない。そして意外に人がいる。
時間になってプールのある部屋に移動し、ショーが始まった。ネルパが係員の合図で踊ったり、絵を描いたり、笛を吹いたり、ボールを飛ばしたりと多才だ。おまけにキスまで見せつけられた。小さい建物の狭いプールでのショーだったけど、予想外に面白かったと言うか、ずっと見てるとネルパがかわいく見えてくるから不思議だ、綺麗な目をしている。
写真の写真を撮りながら、僕は何をやってんだと考えてしまった。まぁでもここは、一回で良いかなと思う。それに男一人で来るところかなと思うと、少し切なくなった。近くの売店でコーラを買って、早々にバスを乗り継ぎ家に帰った。
乗り換えのバスを待っている時にトロリーバスが何台か走っているのを見かけた。ここではトロリーバスとは言わないのかもしれないけど。
トロリーバスの架線は問答無用に直に建物の壁に打ち込まれていて、さすがロシアだなと思った、日本ではこうはならないだろう。でも昔の東京にも、これと似たような景色があったんだろう。
こうして僕のイルクーツク最終日の午前中は、ネルパで終わってしまった。
つづく