黄金の環の中へ
コンパートメントに戻って朝食にサンドイッチを食べた。ゴミを捨てに行ったところを、眉毛のつながっているアマンさんに声をかけられ、アマンさんの席に行ったらそこは車両のコンセントでパソコンを充電して放置していた少年のいるコンパートメントだった。
アマンさんとお茶を飲みながら話をしていると、少年が「写真を撮って欲しい」と言うので写真を数枚撮って、デジカメのSDカードからパソコンにデータをコピーしてあげた。パソコンにはゲームのソフトがたくさんインストールされていたので、教えてもらいながら試しやらせてもらったけど、すぐ死んだ。「少年よ、僕がパソコンでゲームをするのに慣れていないだけさ」ということにしといた。
自分の席に戻ろうとして、アンドリュー夫妻のコンパートメントを通りかかると、笑い声が聞こえてきたので、何かと思って覗いてみると女性達はもうすぐ列車を降りるからとお化粧を始めていた。
アンドリューにネックレスをしてもらい、スヴィエタさんに化粧をしてもらって着替えてきたダマラさんが「写真を撮ってちょうだい」と言うのでポラロイドカメラで写真を撮ってあげたら、ご機嫌な様子だった。「俺にもくれ」とアンドリューもねだるので「お前はまたか、仕方ないな」とアンドリュー夫妻の写真もついでに撮ってあげた。
モスクワ到着まであと1時間。僕は席に戻り、トイレが閉まる前に身支度を整えてパッキングを済ませた。ポーラちゃんも「そろそろ起きなさい」とお母さんのリラさんに起こされていたみたいで、降りる準備を始めていた。
モスクワ到着まであと30分。
身支度をしているポーラちゃんの隣で、準備を終えたリラさんとゾーヤさんとお茶を飲みながらガイドブックの地図を見てもらい、この列車がモスクワのどこの駅に到着するのかと予約した宿の最寄り駅メトロのアルパーツカヤまではどう行けばいいのか質問すると「この列車はヤロスラブリ駅に着くから近くのコムソモーリスカヤからメトロに乗って、ビブリオチェーカ・イーメニ・レーニナで乗り換えればいいのよ」と地図に書き込みながら教えてくれた。「スパシーバ、リラさん」「大丈夫?」「大丈夫、分からなくなったら、その時は他の人に聞いてみるさ」
そして、僕たちを乗せたシベリア鉄道は首都モスクワへ。
つづく