アジア・ヨーロッパオベリスク

朝焼けの霧の中

真夜中のこと、寝ているところを列車の揺れで目を覚ました僕は、停車したバグザールのホームに降りて深呼吸をした。それでもまだ寝ぼけていてるような感じだった。このヴァグザールではたくさんの人の乗り降りがあった。その中にはアレックスとアレクサンドルの姿もあって「じゃあまたな」「あぁ、またな」そう言って握手をすると彼らは行ってしまった。

 

深夜に停車したホーム

深夜に停車したホーム

 

アレックスとアレクサンドル

アレックスとアレクサンドル

 

早朝に誰かに起こされたような気がした。時間感覚がめちゃくちゃになっていた僕は、気のせいだと思ってまた寝てしまった。再び誰かの小声で目を覚ますと、ナタリーさんが僕の布団を掛け直して、荷物を持って降り始めようとしてるところだった「しまった。エカテリンブルグか!」急いで通路に降りて、ナタリーさんの荷物を持ってホームを降りた。危なかった。気づかないうちにさよならをするところだった「またね」と言って手を振り、連絡通路へ向かってくナタリーさんを見送った。

 

またねナタリーさん

またねナタリーさん

 

朝早いせいか人は全然いない

朝早いせいか人は全然いない

 

朝起きると下のシートにすごい美人の女性が寝ていて、寝顔にドキッとした。多分、エカテリンブルグから乗ってきたんだろう。

 

朝焼けの霧の中

朝焼けの霧の中

 

朝食はアレクサンダーとクリスチーナと食べた。二人が降りるペルミまではあと二時間くらい。

 

アレクサンダーとクリスチーナと最後の食事

アレクサンダーとクリスチーナと最後の食事

 

二人と連絡先を交換してモスクワで写真を送る約束をした。朝食を食べてるときに「余ってしまったから」とアレクサンダーはブルーベリーのティーパックと箱入りの大量の角砂糖とチョコレートを、クリスチーナはりんごとハンバーグとサラミをくれた。何やらまたいただいてしまったのでお礼を言った。

 

二人がロシア語でメッセージを書いてくれたので、僕は「もし二人が他の日本人に会ったら翻訳してもらって、次に二人が会う日本人が親切な人である事を祈るよ」と言って、日本語で二人にメッセージを書いて渡した。不思議そうな顔をしていたので「安心して、良い意味だから」と付け加えた。

 

降りる直前のアレクサンダー

降りる直前のアレクサンダー

 

降りる直前のクリスチーナ

降りる直前のクリスチーナ

 

ペルミに着くと、クリスチーナは迎えに来ていた家族を見つけ、こっちに手を振ると行ってしまった。アレクサンダーも「またいつか会おう」と握手をすると出口に向かって歩いて行った。こうして僕は二人と別れた。

 

ペルミバグザール

ペルミバグザール

 

ペルミ停車中

ペルミ停車中

 

ペルミに着くと夏らしく気温も高くなってきた、喉が渇いたので売店を覗いて缶のコーラを買った。

 

ボンアクアはよく飲みました

ボンアクアはよく飲みました

 

コーラを買ってる時に、突然音が流れてきたので何かと思って外に出たら建物のマイクから音楽のようなものが鳴っていた。あきらかに列車のアナウンスとかではなさそうだったけど、周りの人たちはみんなあまりにも普通だった。

 

 

建物の陰で涼みながらコーラを飲んでいると、同じく涼みながらだるそうにうなだれていた男がいた。

 

うなだれていた男

うなだれていた男

 

アンドリュー夫妻

アンドリュー夫妻

 

アンドリュー夫妻とはモスクワまで、細かく言えばモスクワヴァグザールの出口まで一緒に行くことになった。旦那のだるそうな感じとは裏腹にやたら愛嬌のあった奥さん、そしてこういう感じの夫婦。どこか他の国で以前に見たことがあるような気がして親近感を覚えた。

 

奥さんが列車の側から「戻るよ〜」と呼ぶので、僕も立ち上がって戻ろうとすると、同じ車両だった。一先ず、自分のコンパートメントに戻ると新しい人が来ていて、気難しそうな中年男性二人と、すごく美人だけど性格がきつそうな女性一人。重苦しい雰囲気の中、列車は出発した。

 

気まずいのでガイドブックを読んでいると、昨夜ペルミに来る間のウラル山脈横断区間にヨーロッパ・アジアオベリスクというものがあったらしい。夜だったし、どちらにせよ見えなかったとはいえ、そのオベリスクは欧亜の境界を示すもので、このオベリスクを越えた瞬間から僕は気づかないうちにヨーロッパに入ってたみたいだ。

 

今までまだアジアだったのか。

 

つづく

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