シベリア鉄道と赤ちゃん
席に座って日記を書いていたら、手におもちゃを持った元気な子がとことこと通路を歩いてきて「お〜どしたよ?」と声をかけて振り向くと「みんなこっち見すぎだろ」と乗客みんなその子を見守っていた。多分、転ばないように気にかけてたってこともあったのかもしれない。まぁでも単純に無邪気に遊ぶその子は見てるのが楽しかったのかな。
アンジェリーナちゃんのコンパートメントには赤ちゃんがいて、今にも泣き出しそうにぐずっていて、赤ちゃんのお母さんはお菓子を見せたり、隣の席のアレクさんがあやしてみたりしていたが、ダメみだいで、ついに泣きだしてしまった。
その様子を見ていたアンジェリーナちゃんは、赤ちゃんのそばに寄って自分の持っていたおもちゃをあげようと手渡そうとした。その時、赤ちゃんは不思議と笑って泣き止んだ。言葉にするとただそれだけなんだけど車両にいたみんなはそれを見て笑っていた。
席に戻って日記の続きを書き終えると、アレクサンダーが箱ごと置いていったブルーベリーティーと砂糖、ナタリーさんが別れ際にくれたチョコレートをテーブルの上に出し、自分のスタカーン(グラス)とカトラリーを用意した。
こうして今日もシベリア鉄道は走っていく。「さて、そろそろ時間か」僕はエドワードに会うため隣の車両へ。
つづく