突然の再会とシベリア鉄道のチケット
午前中にディマたちがイルクーツクへ出発する時間を確認して、シベリア鉄道のチケットを買いにウラジオストクヴァグザールまで向かった。坂道を降りていく途中、浦潮本願寺跡の石碑を見かけた。昔、この街がまだ浦潮市と呼ばれていた頃の名残だ。
駅の中に入るのに荷物チェックがあったが大して荷物も持っていないので、特にこれといった質問もされることなくあっさり通れた。駅の待合室に座っていた人たちは、きっと自分の列車が来るのを待っているのだろう。構内は、駅とは思えないほど趣のある空間だった。
チケット売り場を探してみたがなかなか見つからなかったので、入場ゲートの側にいた係員の人に聞いてみたら、短距離列車と長距離列車のチケット売り場は分かれているみたい。階段を下り、教えてもらった別フロアへ向かった。
宿でスイカをくれたおじさんが「これをチケット売り場の人に見せれば大丈夫だよ」と、あらかじめロシア語でメモを書いてくれていたので、それをチケット売り場のおばさんに見せたら「座席はどこにする?」と聞いてきたので「安い席でお願いします」と伝えたら「じゃあこの席の上段かな」と僕のガイドブックをイラストを指さして座席を取ってくれた「クレジットカード使えますか?」と聞いたら、どうやら現金だけしか使えないみたいで「席は押さえておくから」と駅の近くにある銀行のATMを教えてもらい、お金をおろしてまた戻って来た。
パスポートとチケット代を渡し、念願のシベリア鉄道のチケットを手にいれた。おばさんはチケットに書いてある記載の意味を教えてくれて「この12時10分というのは、モスクワ時間での出発時刻だから、この駅には19時10分までに必ず来てね」と親切にメモ書きをしてくれた。僕は、おばさんに「スパシーバ(ありがとう)」と言って、急いで宿へ戻った。
宿の近くのポクロフスキー聖堂前の地下通路では果物を売っていたので、少し腹が減ったから昼食用にとバナナを買った。
地下通路の階段を上って外に出ると、ポクロフスキー聖堂前に韓国の旅行ツアーのバスが停まっていた。もしかしてと思って聖堂の入口を覗いてみたり外からバスを見てみたりしたが「やっぱりいないか」と立ち去ろうとした時、バスの中からフェリーで一緒に夕日を撮ったリーさんが降りてきた。バスの中から僕が見えてびっくりしたらしい。
「元気でした?どこに泊まっているの?」とリーさんが聞いてきて「元気、元気。この近くの宿にいて、今日の夜にイルクーツクに向かうんだ。リーさんは?」「私は駅の側のホテルで明後日の夜に韓国へ帰国します。あとフェリーでの写真送ってくれてありがとう」「いえいえ。また会えて嬉しかったです」「私もです」「それじゃあ、僕は急ぐのでここで一旦お別れですが、あ〜トマンナヨ!(またいつか会いましょう)」「ん!?あ〜!トマンナヨ、トマンナヨ!」バスに戻るリーさんを見送って手を振り、僕は宿に戻った。
宿に着くと、ディマたちが出発の準備をしていた。チケットをスマホのカメラで写真に撮ってもらい、ディマたちの電話番号を聞いた「もしかしたら、にのがイルクーツクに着く日に、僕らも着くかもしれない」「本当か!?それはなんか安心したよ!」そう言って、彼らもウラジオストクを離れていった。
僕ももうすぐウラジオストクを出る。最後は、この街全体を見下ろすことにした。さっき買ったバナナを食べて、展望台へ出かけた。
つづく